夢よりも現実、定時よりも下版

かつて企業労務がなっていない姫路の零細出版社に勤務していて、特に下版とよばれる、印刷所に渡すデータを作る期間は多忙を極めた。なかなか人が定着しない職場だったこともあり、自分より年齢が上・下に限らず新人さんがほぼ常にいる状態。編集職という仕事に夢や希望を抱いている人は多いと思うが、実際はかなり体力勝負で、下版で新人がデータ作成でミスをしようものなら、修正作業が午前過ぎまで掛かることもしばしばあった。最もつらいのは、どれだけ早く仕事を終えて帰ろうとしても、「こっち手伝ってくれる?」という感じで次々に仕事が舞い込んでくること。かといって、他人から仕事を押し付けられないように自分の作業の速度を緩めると、下版に間に合わなくなる可能性がある。編集部内に定時帰宅という概念は無く、みな当たり前のように残業をし続ける。それでも終わらない場合は、土日出勤が常態化している。それでいて残業手当てや休日出勤手当ては一切無し。作業が終わらなかったら全て自己責任。これではなかなか人が定着しないし、自分自身もずっとこの会社にいるのは無理だろうなぁと思い、転職した。